鑑賞「085:訛」

さて、ひねもすもくもくと。TB1〜169のなかからのピックアップです。あ、ちなみに、お歌の紹介はありませんが「084:千」はTB1〜164を鑑賞しました、ありがとう。 ■ 活字にても訛は消せず青森の林檎の枝を揺さぶりやまず (野州) わあー、三句からのメタファ…

ひねもす

ハロー、せかい、それぞれの街で、元気ですか。気づけば一週間もくもくと更新しまくってます。投稿期間もおわり年末進行のなか、どれだけのかたがピックアップに気づいてくださるかもわからぬまま、自分の好みのままにわしわしやってます。さらに私は今年詠…

鑑賞「082:弾」

ハロー、せかい、こちらかすかに雨の足跡の残る夕刻です。TB1〜168のなかからのピックアップです。連弾、多かったです。やってみたいなあ連弾。といいつつ、ちがうタイプのものを紹介しますね。 ■ ひっそりと弾き語られる未知の地の校歌のなかにそびえたつ山…

鑑賞「083:孤独」

TB1〜166のなかからのピックアップです。むずかしいお題ですね。扱いかたひとつで気高くも安くもなる言葉。そのひとの、孤独観がどんなものであるか、丸見えになってしまうだろう言葉です。 ■ 昼休み星野しずるを回してる今日のしずるは「孤独」が好きだ (…

鑑賞「081:シェフ」

「080:夜」(TB1〜169)を鑑賞のみで失礼して、「081:シェフ」いきます。TB1〜167のなかからのピックアップです。 ■ 気づいても心変わりを責められぬ寡黙なシェフの塩ひとつまみ (揚巻) 自分ではない者を、ひとつまみの塩をふるように自在に操ることはでき…

鑑賞「079:第」

「078:指紋」(TB1〜168)は鑑賞のみで失礼して、今日は「079:第」から始めます。TB1〜169のなかからのピックアップです。 ■ 生まれたら落下していた夜だった 第三惑星雨降りしきる (まといなみ) そうですね、生まれる前は、とおくくらく広々とした宇宙空…

鑑賞「070:白衣」

真夜中にひっそりと更新です。TB1〜172まで鑑賞しました。ふふ、みなさん白衣好きすぎ!笑 予感どおりエロのエッセンス満載でした。けど、いち読者としてのものすごく勝手な願望は、エロよりエロスだなあー。エロとエロス、ちがいますよね。「ス」の有無は伊…

鑑賞「071:褪」

ハロー、せかい、すこやかですか? TB1〜173のなかからのピックアップです。 ■ 色褪せた辞典の表紙たぶんきっと十五の時に一番褪せた (zoe) 下句にハッとしました。みえないものを描いているから。物の状況と同時に、スピード感への意識を感じるから。年輪…

鑑賞「074:あとがき」

072:コップ(TB1〜172まで)と 073:弁(TB1〜174まで)は鑑賞のみで失礼して、今回は「074:あとがき」です。TB1〜172のなかからのピックアップ、大漁です! 後書き、という意味のほかに「〜のあとが/きれい〜、きみの〜」といった変則的な詠み込みかたを幾…

鑑賞「075:微」

うう、やっと四分の三まできました。TB1〜173のなかからのピックアップです。 ■ 白色に紅は微かに沈みゐて一日花の底の明るさ (野州) いま、部屋のシャコバサボテンが満開で。まさにこんな感じなのです、白い花びら、かすかな紅。次の日には萎れてしまうこ…

鑑賞「077:対」

TB1〜173のなかからのピックアップです。076:スーパー(TB1〜171)はグッとくるまでには至らず、紹介は無しとさせてくださいね。多謝。 ■ 対旋律奏づるごとし梅雨明けて百日紅に舞ふ黒揚羽蝶 (鮎美) きれい! 透明な五線譜を感じます。対旋律はバッハがい…

鑑賞「068:怒」

TB1〜173のなかからのピックアップです。 ■ 冬水のかすかな怒り吸い上げて厚物菊は色濃ゆく咲く (村上きわみ) 季節の機微が、季節の花を咲かせる。そんな、とおい昔からつづく彩りの元を「怒り」としたところにノックアウトされました。ヒトにはわからない…

鑑賞「069:島」

こんにちは、今日もぽつぽつと。TB1〜171のなかからのピックアップです。 ■ 鬼は鬼ヶ島に育つ おばあさんに拾われなかった桃から生まれ (古屋賢一) 嗚呼、そうかもしれない、そうなのかもしれない。昔ばなしやハリウッドには勧善懲悪が多いですけど、ひと…

鑑賞「063:仏」

さあー残りひと月、どこまで鑑賞記事を書けるでしょうか。がんばれ私!笑 「063:仏」、TB1〜180のなかからのピックアップです。なるべく多くのお歌を紹介したいので、コメントはシンプルに。多謝。ちなみに、近々『純響社WEB』のコラム(ひゃあーこちらもご…

鑑賞「066:雛」

本日ふたつ目のお題、TB1〜175のなかからのピックアップです。ちなみに「064:ふたご」はTB1〜180まで、「065:骨」はTB1〜180まで鑑賞。ピックアップはありませんです、多謝。 ■ 雛衣を繕う叔母のうなじから胡乱な花が咲いております (村上きわみ) 「胡乱(…

鑑賞「067:匿名」

どんどんいきますっ。TB1〜178のなかからのピックアップです。このお題は考えられるバリエーションが極端にすくないのか、みなさん状景がカブりまくってました。。そうですねー扱いが難しそうな単語です。「匿名」自体は能動的なものだから、これを誰・どこ…

おつかれさまでした!

題詠blog2010、気づけば昨日が投稿受付の最終日でした。完走されたみなさんおめでとうございます! ラストスパートをかけたひとも、マイペースのひとも、それぞれのがんばり・こだわりで、善きかな。ひとまずはおつかれさまでした。うーん私は期間中の鑑賞制…

鑑賞「062:ネクタイ」

TB1〜125のなかからのピックアップです。 ■ ネクタイを選んで気づくこともある 似合わない色こんなにもある (氷吹郎女) 嗚呼、これ。ドキッとするなあ。自分のことなら、洋服なんかでもあーこれ私に合わないし、ってすぐわかるし、それ自体に特別ハッとし…

鑑賞「059:病」

ぽつ、ぽつと忘れたころに降る雨です、こんにちは。なんか急にドコドコと忙しくなってきました、がんばれ私。今回は「058:脳」(TB1〜134まで鑑賞しました)は飛ばして、「059:病」、TB1〜128のなかからのピックアップです。 ■「死に至る病は絶望」口遊む男…

鑑賞「060:漫画」

TB1〜129のなかからのピックアップです。二首をシンプルに紹介します。 ■ 漫画家の黒ずんだ指先からいま恋のかけひきが生まれたところ (青野ことり) あ。この空気なんだか好きです。恋愛という法のなさ、非社会的なこころのせかいが、「黒ずんだ指先」とい…

鑑賞「061:奴」

TB1〜124のなかからのピックアップです。 ■ まつしろな奴(やつこ)に箸をさしいれて機銃掃射のまぼろしを聴く (穂ノ木芽央) とうふが人肌に見立てられたとき、連想される展開はたいてい情事なんですけど、このお歌は銃弾が人をつらぬく殺戮シーンです。音…

鑑賞「057:台所」

TB1〜120のなかからのピックアップです。 ■ あかときの台所に立つ君の手がオムレツふわりとゆらす煉獄 (高松紗都子) このお歌は先月『純響社WEB』のコラムでピックアップさせていただきました。初句の「あかときの台所」(あかとき……夜明け前)で物語の予…

鑑賞「056:枯」

TB1〜122のなかからのピックアップです。ところでお題がひとつ飛んでます、「055:アメリカ」はTB1〜124まで鑑賞させていただきましたが、ピックアップなしなのでした。多謝。 ■ 枯草掻く猪肉あかくゆれてをり歳晩の土鍋の身籠もりならむ (行方祐美) 荒いけ…

鑑賞「053:ぽかん」

TB1〜123のなかからのピックアップです。 えと、実話です、とか、書かなくてよいんじゃないかなあーと思うのです。シチュエーションやエピソードが実話であることが尊いのはドキュメンタリーの世界で、文芸にはあまり関係のないものと考えています。そこは実…

鑑賞「054:戯」

TB1〜121のなかからのピックアップです。 ■ 戯れに右の乳房に触れてみる わたしなんにもなくしていない (音波) 気づいているのね。恋じゃなかったことを。奪われたり、欠けたりすることのなかった慕情を。おとなになるって、こういうことかもしれない。「…

鑑賞「052:婆」

ハロー、せかい、十月ですよ。ということは『題詠blog2010』の投稿期間終了まであと2ヶ月を切ったんですね。。鑑賞で走る私にもまたひえぇーな現実。マイペースがすてきなのはもちろんとして、けどこう、自分で決めて無茶するのもいいよねー。走れるとこま…

鑑賞「048:来世」

TB1〜134のなかからのピックアップです。来世、は当然あるという前提で詠まれているのか、おとなのやさしい嘘なのか、祈りなのか。「来世」に対する意識、この言葉でなにを表そうとしているのかがとても興味深かったです。また、「前世」「現世」ということ…

鑑賞「051:番号」

TB1〜124のなかからのピックアップです。あれ、お題の番号飛びましたよ、っておもったかた、ううう正解です。「049:袋」はTB1〜129まで、「050:虹」はTB1〜130まで鑑賞しましたが、ピックアップなしとさせてくださいませ、多謝。いやしかしやっと半分、折り…

鑑賞「047:蒸」

日をまたぎつつ、今夜もどんどんいきます。TB1〜128のなかからのピックアップです。 ■ 溶けきったブルーハワイも青だけを残して蒸発したゆめのあと (こゆり) 紙コップの底にうすくこびりついた青が見えるようです。残るんだよね、青だけ。氷も水も、ブルー…

鑑賞「045:群」

TB1〜133のなかからのピックアップです。 ■ 雲梯を群青色に塗りこめて七月末の校庭静か (tafots) 「雲梯」と「群青」、-unの頭韻がのどに心地よいです。雲のはしご、って書くんですよね。間近にある塗りたて雲梯から、そのまま主体の視線がぐーーっと広角…