鑑賞「082:弾」

ハロー、せかい、こちらかすかに雨の足跡の残る夕刻です。TB1〜168のなかからのピックアップです。連弾、多かったです。やってみたいなあ連弾。といいつつ、ちがうタイプのものを紹介しますね。


■ ひっそりと弾き語られる未知の地の校歌のなかにそびえたつ山
   (斉藤そよ)
校歌ではかなりの確率で山が街や学校を見守ってますねー。私は転校がおおかったんで母校も校歌もたくさんあるんですが、いわれてみればどの街でもそういう歌詞でした。お歌では知らない土地の遠景に想いを飛ばしつつ、その延長上にはまだ出逢っていないひと・その日々へのあたたかなまなざしを感じます。どの山のふもとでも、いのちが、私と同じように、生きてる。「ひっそりと弾き」「未知の地の」のひびきがすてきです。


■ (よく水を弾くこころだ)立ち漕ぎの背中とっくに見えなくなって
   (村上きわみ)
撥水のこころは、へこたれないこころ。かなしいことがあっても、みなそこでいつまでも体育座りなんてしないこころ。主体がよく知るそのひと、たとえば制服の少年/少女が、ゆるやかな登り坂をぐいぐいと漕いでゆくところが見えるようです。主体は、彼/彼女とはちがうタイプの性格を自覚してるのかもしれない。かといって主体のまなざしは羨望や憧憬というより、見える場所・見えない場所からそのひとをいつも見守っている、というイメージです。斉藤さんのお歌とはまたちがった、近しい者のあたたかさを感じます。