鑑賞「047:蒸」

日をまたぎつつ、今夜もどんどんいきます。TB1〜128のなかからのピックアップです。


■ 溶けきったブルーハワイも青だけを残して蒸発したゆめのあと
   (こゆり)
紙コップの底にうすくこびりついた青が見えるようです。残るんだよね、青だけ。氷も水も、ブルーを私に置いていってしまう。祭の喧騒がしぃんと透明になって消えていくような、そんな読後感です。口語で編まれながらも、三〜四の句またがり、四〜五の破調+句またがりによって、単調なリズムに落ちこまない一首になっています。結句の「〜ゆめのあと」、どうしても芭蕉のあの一句のフレーズとダブるところなんですけど、あちらは俳句だし、こちらは自らの恋を想っている現代版ってかんじで、いいんじゃないかな。