鑑賞『短歌研究新人賞』(2014年・第57回) 佳作

続いて佳作より。

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■ ポッキーの持つ部分だけ食べている屈折してる君のやさしさ
   (柳本々々)
そして指チョコレートまみれ はう。。 (しかも本人は屈折じゃないのかも 水に刺した棒の棒は曲がってないみたいに) お名前はなんと読むのかしら もともとさん? (因に今は『どう どう』と打った)


■ 『回』の字の内部の口の内部にも口の気配が、雪の手触り
   (森本頌)
結句、見えないけれど感じる《回の内部の口の内部》的なものなのか(つまり手のひらをかざすさま)、それとも対比(わさっと触れるほど)なのか わからない、ままでいい 回のくだりで既に勝利と思う


■ さくらばな降りしきるままさよふけて 眠りとは闇をかさねること
   (望月遊馬)
薄膜の感覚 ひかりと闇の両極が、その重なっていく薄膜への意識によって同化する 見えなくなっていく、闇のなかのひかりのなかの闇、のなかの、


■ 通勤の電車のかしこい猫のごとどのひざのうえにも鞄あり
  冷蔵庫のなかに伸ばす手いにしえの木の実を拾う手と重なりぬ
   (鍋島恵子)
猫ならいいのに。。 二首目とても好き 庫内のあかるさ、枝葉のくらがり 生活はつづくよ


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短歌の新人賞に詩人の名を見つけると お、ってなりますね。今年は望月遊馬さん、あと同じく佳作に阿ト理恵さん。共に詩人としてすでに商業誌の新人賞をとってらっしゃる。(望月さん現代詩手帖、阿トさん詩学) 根っこは同じですからね。盛りつけかたが違うだけ。それだけの、そのような、岐路を経た今です。