鑑賞「081:シェフ」
「080:夜」(TB1〜169)を鑑賞のみで失礼して、「081:シェフ」いきます。TB1〜167のなかからのピックアップです。
■ 気づいても心変わりを責められぬ寡黙なシェフの塩ひとつまみ
(揚巻)
自分ではない者を、ひとつまみの塩をふるように自在に操ることはできない。それはそれとして、私は私であり続けるだけだし、それしか、ないんですよね。上句の揺らぎと下句の揺るがなさが、同時にあるということ。せつない。このお歌好きだなあー。あとなにより、出だしがシェフやレストラン・食に関することから離れて詠まれているところに惹かれました。お題のイメージとはすこしとおいところから詠みはじめることで、歌の空間度が増して味わいも広く深くなるとおもいます。このお歌も、そのタイプですね。