鑑賞「051:番号」

TB1〜124のなかからのピックアップです。あれ、お題の番号飛びましたよ、っておもったかた、ううう正解です。「049:袋」はTB1〜129まで、「050:虹」はTB1〜130まで鑑賞しましたが、ピックアップなしとさせてくださいませ、多謝。いやしかしやっと半分、折り返し地点です。実は鑑賞は70番台まで進んでいたりします。。そうですあいかわらず記事が追いついていないのです; 題詠blog2010投稿期間終了まで二ヶ月あまり、無茶したいところだけど気まま更新だからこその充実感もあるし。。詠みも読みも、マイペースに無茶(笑、しましょうね。


■ 番号をいくつも持つて生きてゐる右手ににぎるこの切符にも
   (行方祐美)
そうだなあ、本当、そうだなあ。管理社会を生きるってこういうことなんですね。結句、「切符」というチョイスがいいですね。そういうものから精神的にフリーになるための手段として位置づけられている“旅”を連想させ、そしてなお、その「切符」にまで管理のための番号が割り振られているという、この逃れられなさ。行方さんのお歌はいつもすみずみまでご自身の意識が行き届いていて、それでいてひゅうっと未知な領域にまで飛んでいく言葉の脚力もあって、すてきだなあーーとおもうのです。


その他にも印象的だった二首を。

■ 「番号をお確かめの上」幾度もかからないこと確かめてゐる (梅田啓子)
うん。そうやって自分に、言い聞かせるんだ。字数重視でいけば57577でも読めますが、このお歌は58477のリズムで読み、三句目の頭を一拍開けしたいです。そうすることでお歌の風景……番号というより「番号をお確かめの上」そのものを確かめ噛みしめるさま……とリズムがぴたりと一致します。

■ 醒めてゆく 昨夜つぼみに番号をつけたからもう秘密はないの (キキ)
つぼみに番号! この時点でもう頭ひとつぶん突き抜けてますよね。せつないつぼみ、せつないこころ。胸の暗闇で、咲させられなかったんだ。数えることで止まってしまうもの、名づけることで失っていくものを、想います。「醒めてゆく」の初句切れが効果的です。