鑑賞『007:耕』

無事ですか。無事ですか。みんな、無事でありますように。ほっかいどうにてこの数日、衝撃と無力感で頭がパンパンになっていました。けどちがうよね、そうじゃないよね。幸い被害なくすんだ街にいるからこそ、私は自分のいつもの仕事をいつもどおり誠実に遂行して、得たもので、ほんのすこしでも、買って支える。寄付して支える。ミジンコみたいな個人の力を、そうやって、すこしずつ束ねていくこと。積もって積もって、つながっていくのだとおもうのです。がんばる。


『006:困』は飛ばします、多謝。『007:耕』TB1〜148のなかからのピックアップです。


■ ほんとうに甘いのでしょう(その恋は)水耕栽培された苺は
   (星川郁乃)
まずこの響きに惹かれました。三句以降たたみかけるようなサ行の響き。恋とサ行の摩擦音って、相性いいよなーといつもおもいます。水耕栽培の苺についてし詳しくないのですが、土とはまた違って養分とか酸素とか、あれこれ手間をかけて丹念に育てていくイメージ。むかし我が家の庭にあった、放っておいても気づいたら自然と赤くなっていたあのたくましい苺とはちょっと違う感じです。(その恋は)とされる恋は、きっと水耕栽培の苺のように繊細につないできた関係なのでしょうね。それを「その」恋とやや遠巻きに呼ぶ主体自身の恋のことも、ちょっと気になる一首です。