鑑賞「092:烈」

TB1〜165のなかからのピックアップです。このお題も先日の「090:恐怖」に似て、この言葉自体にインパクトがあるのでそこをどう扱うかがむずかしそう。どうしてもこう、お題になったのを機に詠みたいものを詠む、というよりは、これを使ってなんとか詠んでみるってなってしまいがち。いや題詠なんてそういうもんでしょ、って考えもあるだろうし実際多々そうかもなんですけど、お題に対して自分が劣勢になるってのもなんか悔しいじゃないですか。笑 手のひらで転がしてやるわよくらいの気持ちで詠めたらいいなあーなんて私もつねづねおもいます。むずかしいけどねー、けど気持だけは。


■ メガネってあだ名を捨てる夏の日は夕立みたいに鮮烈な青
   (田中ましろ
下句! 「鮮烈」という言葉のインパクトに負けない比喩で、お題をうまく組み込んでますね。メガネな自分を捨てて裸眼になったのではなくコンタクトになったのでしょうね。フレーム越しではない、段差のないクリアな視界と、なによりメガネをやめるきっかけとなった心情的ななにか……おそらく「夏の日」がキーワードになっている……が主体の胸に鮮やかにせまっているのがわかります。すてきだ。