鑑賞「029:利用」

ハロー、せかい、あついね。(禁止ワード) とぎれとぎれの更新ですが、鑑賞自体はどんどこ進んでいます。はやいとこ私自身が私に追いつかなくては!笑
そんなわけでTB1〜147のなかからのピックアップです。「ご利用は計画的に」関連がものすごっっく多かったです。極めて連想しやすい、歌が標語におわる危険性大、ということで、この時点で詠み手としては圧倒的に不利な選択になっているので、そこからいかに予想外の場所へ着地させるのか、男子新体操マット運動宙返りばりの技が求められるかも。まさに「ご利用は計画的に」の利用は計画的に。


■ 利用とふ小物入れとも財布とも亡母(はは)の小袖を断ちて春なる
   (みずき)
うん。そのように継がれていくものの、いとしさ。小袖を断つ、という描写から「亡母(はは)」はルビなしの「母」のみであってもおそらく歌意は伝わるかも、ともおもいつつ、断つことによって訪れる「春」の、よろこびだけではない巡りの悲喜が感じられる、すてきな歌。


■ 春告げる野路を流れる水として利用されたい (いまとけるから)
   (斉藤そよ)
わぁーーー! (いまとけるから) 、(いまとけるから) 、すてき。最初に知らせるものに、なりにいくのね。相手の春に、なりにいくんですね。「利用」でこの風景を持ってきたところがすごいです、相手の目論みがどうあろうと、自分の気持ちでまっすぐ好きで、駆けていくところ。


■ 耳撫でる力もぬるき夕刻の利用されつくしし末の風
   (中村成志)
ずっとずうっと一日、どこかを吹き抜けてきた風も。ひとの夕刻と同じようにどこか疲れて、くたびれた体をしているんでしょうね。耳という部位でそれを感じとるあたり、夕刻という時間帯の感傷的な空気がよく出ていていいです。やさしい。