鑑賞「004:疑」/新コラムのお知らせ

TB1〜181までのなかから印象に残った歌のピックアップです。
さて、短歌紹介のまえにひとつお知らせを。昨年3月からここ『裏デッサン』で続けてきました題詠blog鑑賞ですが、このたび純響社という短歌出版のホームページ『純響社WEB』のワンコンテンツとして私・いしはたがコラムを執筆させていただくことになりました。URLはこちら↓。
  ●『純響社WEB』……http://junkyosha.com/

『アトリエの庭から』と題して、これまでの題詠blog鑑賞や自由詩の紹介など、のんびりスタイルで更新してゆきます。題詠blog鑑賞については厳選した一首をじっくりと紹介し、その他印象に残った数首をこちら『裏デッサン』にて、ささやかなコメントつきで併せて紹介します。これからは『純響社WEB』と『裏デッサン』、そろい踏みです。どちらも今まで同様、遊びにきてもらえたら嬉しいです。

さて。それでは改めまして、お題「004:疑」よりステキ短歌を。


■ 鉄骨の少し足りないマンションで出生について次女は疑う
   (飯田和馬)
足りない鉄骨、自らの血に疑いを秘める次女のこころ。見えない事実を“神の視点”で描いた歌は、その視点がゆえの観察にとどまらず、作者の意思を編み込むことに成功しています。今回いちばん気になった作品です。
※『純響社WEB』コラム掲載作品。『アトリエの庭から』へどうぞ。→ http://junkyosha.com/


■ 宮下と社長は同じシャンプーのにおい疑うべくもないです
   (中村あけ海)
ふたたびこんにちは、中村さん。今回は宮下さんと社長です。疑惑にもならない二人、性別は勿論、その風貌や性格など、どこからとっても“あり得ない”んだろうな、というコミカルさ。いいですね。


■ 剥かれても何も残らぬ玉ねぎの悔しさ募る疑いの日々
   (マメ)
散乱する玉ねぎの一枚いちまい、その辱められたさまと涙。暗い芯など持ってないのに。ビジュアルを想像するとその悔しさが一層せまってきます。そして読んだかた、あなたは剥かれたほう・剥いたほう、どちらでしたか。シンプルながら染み入る一首。