鑑賞『016:絹』

わあーー久しぶりの更新です。TB1〜133のなかからのピックアップです。


■ さっき見た流星のこと話そうよ絹で巻かれた貸しビルの中
   (新田瑛)
「絹で巻かれた貸しビル」というふしぎな風景に惹かれました。おそらくは実際にそうなのではなくて、繭をイメージしているんじゃないかな。「貸しビル」というのはなんだろう、オフィスか、マンションの一室なのでしょうか。いずれにしても、借りることは出来ても自分の意のままにはならない、仮の意味合いが含まれているようにおもいます。想像の繭の中に、ふたつの個体。「さっき見た」という、これから先ではない過去のことを、それも流星という、とおい、今よりずっと以前の、消えていったひかりの話を。しようよって、話しかけてる。それだけでもう、内側に満ちてゆくせつない願いを感じます。どこにも行けない逃避行みたいです。


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ちなみに。。直接は関係ないかもなんですけど、このお歌を読んで思い浮かんだものがあるのでちょこっとご紹介。作者である新田さんの脳裏にはあったのかも、とおもいつつ。
巨大な建造物などを布で覆うアートを展開している美術家が実際にフランスにいらっしゃいます。クリスト、ジャンヌ・クロード夫妻。島や海岸まで包んじゃったりするの。ジャンヌは残念ながら一昨年亡くなられましたが、日本では去年、彼らの展覧会がありました。作品はこんな感じ。すごいよ! http://www.excite.co.jp/ism/concierge/rid_12972/