鑑賞『012:堅』

TB1〜125のなかからのピックアップです。数ヶ月ぶりに自転車に乗りました。雪解けあとの、まだ砂だらけの道をおっかなびっくり走ってます。走ってますか、歩いていますか、前へ。


■ 紙削る砂消しゴムの堅さもてインディゴブルーのあの日残りぬ
   (竜胆)
砂消しゴムの質感。インクを削り落とすべく紙と擦りあわせる際の、あのざりざりとした感覚が胸にひりひり迫ってきます。そのように、砂消しゴムの質感は心的なものでもあり、また情景そのものでもあって。夕暮れて、どんどん夜に近づき、粗くなっていくひかりの粒子を感じます。「あの日」。忘れられない日。砂消しゴムがこんなふうに風景やこころと繋がっていくなんて、すてきです。