鑑賞「035:金」

ハロー、せかい、夏休みもそろそろおわりの季節です。秋からはみんなさみしいおとなです。こどものうちにやらなきゃならない宿題は、終わりそう?
TB1〜138のなかからのピックアップです。さくさくいってみます。


■ 過剰なるこころとからだを疎む日は金盞花となり空を見てゐる
   (梅田啓子)
花言葉は「別れの悲しみ」。細やかな花びら、夕刻のような色をしたキンセンカは、小ぶりな花でありながらもどこかトゥーマッチな姿をしています。そんな「過剰なるこころとからだ」をしたまま、それでもやり過ごさなくてはならない日々があるんですよね。カ行主体にまとめられた音韻が舌にここちよい一首。


■  廃ビルの影うつくしくなにものにもいつしか訪れる黄金期
   (虫武一俊)
そう、このビルにも、確かにあった。黄金期と黄昏(廃ビルの影うつくしく、から連想)という異義語を色彩の側からリンクさせ、過ぎたものを前にして確固たる予感・未来のありさまを想うという構造がとても興味ぶかいです。それにしても、廃墟ってどうしてあんなに魅力的なんでしょうね。なにもかも忘れたように、恍惚と、しているからかな。私もいつかそこへ向かうんだろう。な。