短歌鑑賞・「007:ランチ」

1〜225首目からのステキ短歌ピックアップです、今回は少なめ。というか各歌人さんのブログへピックアップのお知らせにあがろうかどうか考えているうちに007まで来てしまった。いまのところは「のろしに気づいてくれー!」と念じながらやってます(笑)、読みにきてくれたかたありがとう。それ私の煙です。


■ あと何度過ごせるだろう真っ平らなランチタイムに潮風が吹く
  (イマイ)
嗚呼、これいいですね。「真っ平らなランチタイム」って表現がすごくいい。砂浜にシートを敷いてのランチは、「ランチ」という言葉が持っているだろう気軽感や日常感とはかけ離れた場所にあって、だからこそ余計に「あと何度」が響いてきます。人は変わっていく。関係性も暮らしかたも変わっていく。いのちも有限であって。これが恋人であれ家族であれ、今日その日のかけがえのなさがさらりと描かれていて、とても好きです。


■「一般によくあること」で片付けてしまいたい日に食うAランチ
  (拓哉人形)
しんどいことも、記号みたいにあしらってやりすごせたらいいのに。どんなにありふれた事象も、それを受けとめる「私」はこの世でひとつの限定品だ。そんなひとりひとりで、せかいは溢れてる。かなしくて、いとしい。