題詠2009
ガラス越し押し黙りある瀬戸黒ににじむ数多の人間模様
いかないで 痩せゆく糸に振動はゆるいサイダーみたいに消える
渡されてかけたCDどの歌詞が暗号なのか思案している ※追記(9/3)……読み返してみるといまひとつ言葉がはまってないなぁ。。TB分は訂正できないので、ここにのみ修正版を載せておきます。 ■ 贈られて聴いたCDどの歌詞が暗号なのか思案している
胸の隅忘れられない影のあるままでいいんだ君と生きたい
記念日のグリルにならぶ秋刀魚二尾 胸の苦みもおいしくなぁれ
誰とでもこうなるわけじゃ、ないです、から、抗うフルート だから恋した
繋がっているのか 引きずるスリッパの音だけひびく選挙会場
メレンゲの角がきれいに立ったから決心をする午前二時半
母を生みたかった 途切れゆく道で子宮のドアをさし示す指
「嫉妬したこと、ありますか」不意に目と胸を射貫かれゆらり傾く
裏切ってもいいよきっと好きなままだよ切立つ塔に被せるピンク
君を傷つけられるのは私だけ登坂車線の右側を行く
とくとくと心音ふたつ引退のできない道に母子手帳咲く
逢うごとに指を呑みあう救済の及ばぬ場所へひくく流れて
額縁が黒に変わってなお香る肩ごしの血が生きよ、と言った
遠い日の魔法の延長上にある食卓にのる茄子の煮浸し
今度こそ恋には落ちない アドレスは登録せず押す返信ボタン
数式の左岸右岸をむすぶ橋そのように「愛」の言葉はあった
私という宇宙を妊娠した宇宙三十九年前のほほえみ
首筋を舐めあげた舌がふるえていたから組み敷かれたまま赦した
言い訳をされるならまだ大丈夫 わらう彼女の目尻の深さ
上空で君があやつる投げ縄のひゅんひゅん背中の耳で聴いてる
デュッセルドルフとつぶやき舌にやわらかくなぶられている災い、あまく、
もう言葉におさまってしまう君これで逢うのは最後ほんとに最後
恋人か友人かなどどうだっていいじゃないのと野菜ソムリエ
警笛もきっとまぶしく見ただろう白線越えたあのつまさきを
常識にも旅をさせます手始めにロールケーキを縦に切ったり
紅い血でひとを裏切る劇をみて幕間にきみの小指を噛んだ
きもちよくなければきっと永遠だったかなしくないわさびしいけもの
連弾のふたりの傍らで譜面をめくる係です 壁の花です